第1章|「伝えたい」は、発信側の都合でもある

何かを伝える時、「あれも伝えたい」「これも伝えたい」となることがあります。特に作る側は、背景や想い、経緯や理由、世界観などを全部知っています。だから、全部重要に見える。

しかし、受け取る側は違います。初めてそれを見るかもしれない。急いでいるかもしれない。疲れているかもしれない。前提知識がないかもしれない。

つまり、発信する側と受け取る側では、見えているものも、理解度も、熱量も違うのです。

だから、「伝えたい」だけでは成立しません。重要なのは、“どうすると、迷わせずに理解を促せるか”です。


この章の要点

「伝えたい」は、発信側の視点です。成立させるためには、“受け取る側が、どう理解するか”まで考える必要があります。


第2章|人はまず、「書いてある通り」に受け取る

人は、深読みして受け取る前に、まず「書いてある通り」に受け取ります。

例えば、初めて行く建物や施設、初めて使うサービス。そこに「受付はこちら」「エレベーターはこちら」「トイレはこちら」と書いてあれば、人はその通りに動きます。なぜなら、初めての状況では、「どうすればいいのか」を知りたいからです。

つまり、分かりにくい表現や、おしゃれすぎる言い回しは、解釈に時間がかかる。それは、受け取る側へ負荷をかけることになります。

だからこそ、

  • 分かりやすく

  • ストレートに

  • 迷わせず

  • 一瞬で理解できる

ことが重要になります。

そしてその後に、

  • 空気感

  • 状況

  • 温度感

  • 雰囲気

  • デザイン

などを含めて、「どういう意図なのか」を解釈していきます。

つまり、まずは“迷わず理解できること”が土台になるのです。


この章の要点

人はまず、書いてある通りに受け取ります。

だからこそ、“理解に時間をかけさせない”ことが重要です。


第3章|デザインは、「装飾」ではなく「伝達」

ここは、かなり重要です。

デザインというと、

  • おしゃれ

  • 装飾

  • 世界観

  • 作品性

のように捉えられることがあります。

そして、「より装飾した方が良い」「より作り込んだ方がクオリティが高い」という方向へ進みやすい。つまり、“装飾を増やしていくことが、デザインをすること”だと勘違いされやすいのです。

これは、一般的に「デザイン=見栄えを整えるもの」という認識が強いことも関係しています。

もちろん、見栄えやスタイリングも大事です。しかし、それはデザイン全体の中の一部です。

本来デザインとは、

  • 何を

  • 誰に

  • どんな状況で

  • どう伝えるか

を整理することです。

つまり、デザインとは「伝達」です。

建築で言えば、外観だけでは成立しません。基礎や骨組みがしっかりしていなければ、そもそも建物として成立しない。

デザインも同じです。

スタイリングより先に、

  • 情報構造

  • 導線

  • 認知

  • 理解順序

  • 視線誘導

  • 使用環境

などを整理する必要があります。

しかし、ここで「もっと作り込もう」「もっと装飾しよう」「もっと情報を入れよう」となると、本来伝えるべき情報よりも、“演出”が強くなってしまう。

結果、

  • 分かりにくい

  • 迷う

  • 焦点が分からない

  • 判断できない

という状態が起き始めます。

つまり、装飾が悪いわけではありません。ただ、“伝達を邪魔する装飾”になってはいけない。ここが重要です。

だから私は、なるべく、

  • 簡潔に

  • ストレートに

  • 一瞬で分かり

  • 焦点を絞って

伝えることを重視しています。


この章の要点

デザインは、単なる装飾ではありません。

基礎や骨組みを設計するように、“どうすると迷わず理解できるか”を整理することが、本来のデザインです。


第4章|「シンプル」は、浅いのではなく、深い

ここも、よく誤解されます。

シンプルなものを見ると、「これなら自分でもできそう」と思われることがあります。しかし実際には、逆です。

本当に難しいのは、「削ること」です。

足すことは簡単です。しかし、

  • 何を残すか

  • 何を削るか

  • 何を優先するか

を決めるには、本質理解が必要になります。

例えば、

  • レイアウト

  • タイポグラフィ

  • 配色

  • 視線誘導

  • 情報量

  • 使用環境

  • 認知条件

などを整理した上で、最終的に“一瞬で理解できる状態”へ集約していく。

つまり、シンプルとは、浅いのではなく、“徹底的に整理された状態”なのです。

逆に、足して、装飾して、情報を増やしていくばかりになると、“焦点を絞る技術”が弱くなっていきます。

だからこそ、シンプルにする、分かりやすくする、ということは、実はかなり深い作業なのです。


この章の要点

シンプルとは、情報不足ではありません。本質を整理し、“最重要だけを残した状態”です。


第5章|「迷わせない」は、優しさでもある

私は、分かりやすく、親切で、丁寧であることを、とても大事にしています。なぜなら、相手の状況を考える必要があるからです。

例えば、

  • 初見かもしれない

  • 不安かもしれない

  • 前提知識がないかもしれない

  • 疲れているかもしれない

  • 急いでいるかもしれない

そういう状態を考える。

だからこそ、必要に応じて、理解を手助けする補足を入れる。

ただし、全部を大きく説明するわけではありません。必要な情報を、必要な場所へ、適切な強さで置く。これが重要です。

また、できれば、

  • 一言

  • 図形

  • 記号

  • インフォグラフィック

などによって、“考えなくても分かる状態”へ近づけていく。

つまり、迷わせないというのは、単なる機能性ではなく、“相手を思いやること”でもあるのです。


この章の要点

分かりやすさとは、単なる説明ではありません。相手の状況を考え、“迷わず理解できる状態”を作ることです。


第6章|整理とは、「捨てること」でもある

整理というと、並べること、まとめること、のように思われがちです。しかし実際には、「いらないものを捨てる」ということでもあります。

ただ、ここで難しいのが、「あれも大事」「これも大事」となることです。

すると、何を削ればいいか分からなくなる。結果、全部入ってしまう。

そして、受け取る側は、

  • 情報量に疲れる

  • 焦点が分からない

  • 理解が追いつかない

という状態になります。

だからこそ、まずは、

  • 情報を細分化する

  • グループ化する

  • 重要語句を選ぶ

必要があります。

そして、

  • 最重要を最初に伝える

  • 補足を次に置く

  • 詳細を最後へ整理する

こういった順番設計が必要になります。

これは、新聞構成でも同じです。

例えば新聞では、まず見出しがあります。ここで、何の記事なのかを伝える。次にリード文があります。ここで、内容を簡潔に補足する。そして最後に、本文で詳細へ入っていく。

つまり、“いきなり全部を投げていない”のです。

これは、情報設計のお手本でもあります。


この章の要点

整理とは、“全部を入れること”ではありません。“何を先に理解させるか”を整理することです。


第7章|媒体によって、「伝え方」は変わる

伝えるということは、媒体によっても変わります。

例えば、

  • 野立て看板

  • ポスター

  • CM

  • ラジオ

  • バナー

  • Web

  • パンフレット

では、見る状況が違います。

例えば、道路沿いの看板。ここに細かな説明を大量に書いても、誰も読めません。なぜなら、見る時間が一瞬だからです。

0.5秒、1秒。その瞬間で、「何なのか」を理解させる必要がある。

つまり、

  • 短く

  • 一瞬で分かり

  • 考えさせず

  • 焦点を絞る

必要があります。

逆に、Webやパンフレットでは、もっと詳細まで伝えられる。

つまり、“媒体ごとに役割が違う”ということです。

そして重要なのは、「どの媒体で、どこまで伝えるか」です。

例えば、

  • 看板 → 認知

  • バナー → 興味付け

  • LP → 理解形成

  • パンフレット → 詳細説明

というように、役割を分ける。

そして、次にどこへ繋げるかまで整理する。

つまり、伝えるとは、単に情報を出すことではなく、“理解の導線を設計すること”でもあるのです。


この章の要点

媒体ごとに、

  • 見る状況

  • 情報量

  • 理解速度

は変わります。だからこそ、“どこで、何を伝えるか”を整理する必要があります。


補足|チェック項目

意図を整理する時は、すべてを順番通り埋める必要はありません。見落としや、伝達ズレを防ぐために、気になる項目を使って整理してください。

  • 本当に伝わる言葉か

  • 解釈に時間がかからないか

  • おしゃれを優先しすぎていないか

  • 情報量が多すぎないか

  • 焦点は絞れているか

  • 最重要が最初に見えているか

  • 補足と詳細は分かれているか

  • 相手の状況を考えられているか

  • 初見でも理解できるか

  • 不安を増やしていないか

  • 迷わせる導線になっていないか

  • 媒体ごとの役割は整理できているか

  • 一瞬で理解できるか

  • 次にどこへ繋げるか設計できているか

  • 伝達を邪魔する装飾になっていないか

  • シンプルに整理できているか