第1章|「説明した」と、「伝わった」は違う

何かを伝える時、「ちゃんと説明した」と思っているのに、相手にはまったく違う形で伝わっている。これは実際かなり起こります。

例えば、

  • 伝えたつもり

  • 説明したつもり

  • 分かる前提

  • 常識だと思っていた

こういったものです。

しかし実際には、発信する側と受け取る側では、見えているものが違います。

例えば同じ言葉でも、

  • 業界経験

  • 年齢

  • 過去経験

  • 理解度

  • 興味

  • 価値観

によって、受け取り方が変わります。

例えば社内でも、「これぐらい言わなくても分かるだろう」という感覚で話が進むことがあります。しかし、受け取る側は、そもそもその前提を知らない。

だから、発信する側は説明したつもりでも、受け取る側はまったく別の解釈をしている。こういったことは、実際かなり多いのです。

つまり、“同じものを見ている”ようで、実際には違うものを認知していることがあるのです。


この章の要点

「説明した」と、「正しく伝わった」は違います。

人によって、見えているものも、受け取り方も違う。その前提で考えることが重要です。


第2章|認知のズレは、「説明不足」だけで起きるわけではない

認知のズレというと、「説明不足」だけが原因と思われがちです。

もちろん、

  • はしょっている

  • 前提共有できていない

  • 情報が足りない

こういったことも原因になります。

ただ、逆に、情報が多すぎることで認知ズレが起きることもあります。

例えば、

  • 余計な情報

  • 関係ない装飾

  • 焦点が定まらない説明

  • 長すぎる文章

  • 難しい言葉

などです。

そうすると、何が重要なのかが分からなくなります。

例えば、「しっかり説明しよう」と思って、補足を増やし、説明を増やし、情報を増やした結果、逆に“何を伝えたいのか分からない”という状態になることがあります。

つまり、情報量を増やせば伝わるわけではない。むしろ、認知の焦点をブレさせることもあるのです。


この章の要点

認知ズレは、「情報不足」だけではなく、「情報過多」でも起こります。

重要なのは、“何を認知させたいのか”を明確にすることです。


第3章|認知されやすくするには、「分かる言葉」を選ぶ

認知されやすくするためには、まず“誰でも分かる”ということが、とても重要です。

例えば、専門用語やビジネス用語を多用すると、発信する側は「伝えたつもり」になります。しかし、受け取る側は、意味を理解できていないことがあります。

だからこそ、なるべく、

  • 小学生でも分かる言葉

  • 短い文章

  • シンプルな言い回し

を選ぶことが重要になります。

また、

  • リズム

  • テンポ

  • 記憶に残りやすさ

なども、認知に大きく関わります。

例えば、短くテンポの良い言葉は、記憶にも残りやすい。

逆に、「かっこいい言葉」「おしゃれな言い回し」に寄りすぎると、“なんとなく雰囲気は分かる”けど、“結局、何が言いたいのか分からない”になりやすい。

これは、実際かなり多いです。

特にデザインやブランディングの現場では、「雰囲気」を優先しすぎることで、認知が曖昧になるケースがあります。

つまり、認知を成立させるためには、“分かりやすさ”を優先する必要があるのです。


この章の要点

認知されやすくするためには、“誰でも分かる言葉”を選ぶことが重要です。

難しさや、おしゃれさより、まず“理解されること”を優先する必要があります。


第4章|言葉だけで認知させようとしない

認知は、言葉だけで成立するわけではありません。

例えば、

  • 画像

  • 挿絵

  • 図解

  • グラフ

  • 強調

などによって、理解しやすくなることがあります。

つまり、認知とは、“複数の情報を組み合わせて形成される”ということです。

例えば、説明だけでは伝わりにくい内容も、図やグラフがあるだけで、一気に理解しやすくなることがあります。また、視覚的な補助があることで、記憶にも残りやすくなります。

例えば、赤を見るとコカ・コーラを思い出す。赤と黄色を見るとマクドナルドを思い出す。

これも、色そのものが認知されている状態です。

ただ、認知は視覚だけで形成されるわけではありません。

例えば、

  • 店舗に入った瞬間の匂い

  • 短い音楽

  • 環境音

  • 接客時の声のトーン

  • 素材の質感

なども、記憶や認知に強く関係します。

つまり人は、視覚だけではなく、“五感”によって認知している部分も大きいのです。

だからこそ、“どう見せるか”だけではなく、“どう感じるか”まで含めて考える必要があります。

つまり、認知とは、単なる情報伝達ではなく、“体験”として蓄積されていくものなのです。


この章の要点

認知は、言葉だけではなく、視覚・聴覚・感触・空気感など、五感によって形成されます。

つまり、“理解しやすい状態”だけではなく、“記憶に残る体験”として設計することも重要です。


第5章|認知は、「繰り返し」と「統一性」で形成される

認知というものは、一回見せれば成立するわけではありません。

むしろ重要なのは、“同じものを繰り返し見せ続けること”です。

例えば、

  • ロゴ

  • 言葉

  • 空気感

  • 接客

  • 発信

など。

これらが毎回違うと、認知されにくくなります。

例えば企業でよくあるのが、「前回と違うことをやろう」「今回は新しい見せ方をしよう」という考え方です。

もちろん、変化自体が悪いわけではありません。

ただ、認知という視点で見ると、毎回違うことをすると、“何者なのか”が積み上がらなくなります。

だから私は、すでに認知されているものを、なるべく引き継ぐことを大事にしています。

例えば、

  • 空気感

  • 言葉

  • 世界観

  • 見せ方

などです。

それを踏襲しながら、どうブラッシュアップしていくかを考えます。

なぜなら、認知というものは、継続と統一性によって形成されるからです。

例えば、赤を見るとコカ・コーラを思い出す。赤と黄色を見るとマクドナルドを思い出す。

これは、色そのものまで認知されている状態です。

そして、それは一回で覚えられたわけではありません。

長い時間をかけて、同じ色、同じ空気感、同じ世界観を繰り返し見せ続けているからこそ、認知されているのです。

例えば標識もそうです。

毎回「止まれ」と文章を読んでいるわけではありません。

形や色を見た瞬間に、「これは止まるものだ」と判断している。

これは、“同じものを長期間、繰り返している”からです。

逆に、地域によって、

  • 関東では赤

  • 関西では青

  • 九州では黄色

というように、バラバラだったら認知できません。

つまり認知されるためには、

  • 続けること

  • 揃えること

  • 変えすぎないこと

が、とても重要なのです。

そして、認知を形成したいのであれば、最初の段階で、

  • 自分たちは何者なのか

  • どんな空気感なのか

  • どんな言葉を使うのか

  • どういう姿勢なのか

といったものを、ある程度明確にしておく必要があります。

なぜなら、後から毎回変えてしまうと、認知が積み上がらないからです。


この章の要点

認知は、“繰り返し”と“統一性”によって形成されます。

だからこそ、コロコロ変えるより、“続けること”が重要になる場合があります。


第6章|認知されるまでには、時間がかかる

認知というものは、すぐに定着するわけではありません。

最初は、意識的に認知させる必要があります。

例えば、

  • ロゴ

  • 言葉

  • 空気感

  • 世界観

などを、繰り返し、継続して、同じ形で接触させる。

そうすることで、徐々に、“考えなくても分かる”状態になっていきます。

つまり、“無意識認知”へ移行していくのです。

例えば、標識や信号などは、毎回文章を読んで理解しているわけではありません。

見た瞬間に、「これはこういう意味」と判断できる。

これは、長い時間をかけて、同じものを認知し続けているからです。

逆に言えば、続けなければ、無意識認知にはなりません。

つまり、認知を形成したいのであれば、“変えること”より、“続けること”の方が重要になる場合があるのです。

また、認知されるまでには、かなり時間がかかります。

だからこそ、最初の段階では、意識的に認知させる必要があります。

例えば、

  • 同じ言葉を使う

  • 同じ色を使う

  • 同じ空気感で発信する

  • 同じ姿勢を見せ続ける

こういったことを、継続していく。

そうすることで、最初は意識的に見ていたものが、徐々に無意識でも判断できる状態へ変わっていきます。

例えば企業でも、

「今回は前回と違うことをやろう」

「毎回新しいことをやろう」

という方向へ行きがちです。

しかし認知という視点で見ると、あまり変えすぎると、認知が積み上がらなくなることがあります。

だから私は、なるべく認知されているものを踏襲しながら、ブラッシュアップしていくことを重視しています。

なぜなら、人は繰り返し触れたものほど、無意識で判断できるようになるからです。


この章の要点

認知は、最初は意識的に行われます。

しかし、繰り返しと継続によって、徐々に、“無意識でも分かる状態”へ変わっていきます。

だからこそ、認知を形成するためには、“続けること”がとても重要です。


補足|チェック項目

認知を整理する時は、すべてを順番通り埋める必要はありません。

見落としや、認知ズレを防ぐために、気になる項目を使って整理してください。

  • 本当に伝わっているか

  • 発信側だけ理解していないか

  • 情報量が多すぎないか

  • 焦点がブレていないか

  • 難しい言葉を使いすぎていないか

  • 小学生でも分かる言葉になっているか

  • 長文化していないか

  • リズムやテンポは悪くないか

  • 画像や図解は必要ないか

  • 視覚補助は適切か

  • 五感への認知設計はできているか

  • 何を認知させたいのか明確か

  • 色や言葉に統一性はあるか

  • コロコロ変えすぎていないか

  • 継続して同じ認知形成ができているか

  • 一回で伝わると思い込んでいないか

  • 無意識でも判断できる状態を作れているか