第1章|成立しない状態

頑張って作っているのに、なぜか噛み合わない。
整えているはずなのに、なぜか伝わらない。
悪くないはずなのに、なぜか成立しない。

こういった状態は、私が生業にするデザイン業界だけではなく、発信、商品、ブランド、人間関係、提案、ビジネスなど、様々な場面で起こります。

多くの場合、問題は、センス、デザイン、技術、表現、情報量など、“部分的な要素”として考えられます。

もちろん、原因はそれだけではありません。

しかし実際には、もっと手前の段階で、成立しなくなっていることがあります。


第2章|もっと手前の条件

成立しない理由を考える時に重要なのは、

  • 何を成立させたいのか

  • 誰のためのものなのか

  • 誰に向けたものなのか

  • どんな状況で使われるのか

  • 何を解決したいのか

  • 成立させなければいけない背景は何か

  • それは本当に必要なものなのか

そういった、もっと手前の条件を整理することです。

もちろん、他にも様々な要素があります。

また、成立しなくなる理由として、個人の好みや感覚が強く入り始めることもあります。

ただ本来は、価格、条件、場所、素材、環境、対象者など、様々な条件の中で、「どうすると成立するか」を考える必要があります。

さらに、「良かれと思って」が、逆に成立を崩してしまうこともあります。

例えば、「分かりやすくしたい」という目的で、色を増やしてしまうケースです。

赤を使ったから、別のところを目立たせるために、次は黄色を使う。次はオレンジ。次は青。

そういう発想は、割と起こりがちです。

しかし実際には、色を増やすことで識別しにくくなることがあります。

本来、情報は、明暗、大きさ、太さ、形状、グループ化、余白、反転など、様々な方法で区別することができます。

もちろん、識別方法は他にもあります。


第3章|情報と関係性

重要なのは、「情報量」ではなく、「識別性」と「順序」です。

「何を伝えるか」だけではなく、何を先に伝えるか、どれぐらいの量で伝えるか、どういう順番で見せるか、何を補足するか、どこで行動へ繋げるか。

そういった、“情報同士の関係性”も重要になります。

例えば、どこまで省略するのか、どこまで補足するのか、一瞬で伝えるのか、読み込ませるのか。そういった違いによっても、成立条件は変わります。

さらに、新しく知る人向けなのか、既に知っている人向けなのか、営業の人が使うのか、常設表示されるものなのか、屋外なのか、室内なのか、時間帯はどうか、天候の影響はあるのか、サイズは適切か。

そういった様々な条件が関係してきます。

もちろん、条件はそれだけではありません。


第4章|成立は単体で決まらない

つまり、「成立」は単体では決まりません。

情報量、識別、順序、環境、対象者、心理、目的、条件、導線、認知、意図。

そういった複数の要素が、どう関係し合っているか。

そして、その関係性に対して、なぜそう見せるのか、なぜその順番なのか、なぜその情報量なのか。そういった成立理由があるか。

そういった積み重ねが、「構造的に考える」ということにつながっていくのだと思います。

このシリーズでは、デザインだけではなく、発信、ブランド、人間関係、認知、言葉、導線、空気感、関係性、布石、構造など、様々な視点から、「どうすると成立するのか」を考えていきます。

このシリーズでは、そういった『成立する条件』を、様々な視点から整理していきます。