デザインは“整えること”から始まる

デザインは、まず「整える」ことからはじまります。

ここで言う整えるとは、見た目を揃える整頓でも、形を整える手作業でもありません。

情報に触れたとき、何が本質で、何を捨てるべきか。どこに重心を置き、どの順序で意味を渡すのか。

その“関係”を組み直す行為。つまり 整える=意味を再構すること に近い。

余計なものを抱えたまま形を作ろうとすると、どれだけ時間をかけても迷いは消えません。

しかし、意味が整った瞬間、情報同士が自然に繋がり、デザインは静かに前に進み出します。

新しく作る前に、まず“整える”。デザインは、そこから始まります。

第一章:整理・整頓・整える —— 似ているようで異なる3つ

日常では同じように使われてしまう整理・整頓・整える。しかしデザインでは、この3つは全く別の役割を持っています。

 

■ 整理=捨てる(不要の排除)

整理とは、要る・要らないを分け、不要を捨てる行為です。

  • 意図と関係のない説明
  • 似た表現の重複
  • なんとなく残した情報

こうした“ノイズ”を取り除くことで、核心が浮かび上がり始める。整理の核心は「削除」にあります。

 

■ 整頓=収める(揃えて並べる)

整頓とは、残ったものを“わかりやすく並べる”行為。カテゴライズ、順序、位置関係──視覚的に揃えるフェーズです。

ただし整頓は、整理が完了していないと機能しません。不要なものを抱えたまま並べ替えても、混乱は整理されないからです。

■ 整える=意味を再構する(デザインの核心)

整えるとは、整理(捨てる)→整頓(揃える)の先にある行為。残った要素に意味・順序・重心を与え、関係性を再構成すること。

  • 何を中心に置くか
  • どの順序で意味を渡すか
  • 何を強調し、何を引くか
  • 余白をどこに配置するか

これらが定まると、情報は単なる“並び”から伝わるメッセージへと変わります。

整えるとは、視覚ではなく思考の組み替え(=再構)です。

第二章:整わないまま進むと、迷いが増える

デザインが進まない理由の多くは、センスやアイデアではなく、整わないまま作り始めることにあります。

整っていない状態は、こうです。

  • 捨てるべきものが残っている
  • 要素が散らばっている
  • 核が定まっていない
  • 関係性が曖昧
  • 何を優先すべきかわからない

このまま作り進めても、判断は濁り、迷いは増していきます。

逆に、整った状態はこうなります。

  • 不要がない
  • 中心が一つ
  • 階層が見える
  • 順序が意味をつくる
  • “これしかない” という自然な収束感

整える(再構)ができると、デザインは形を与える前からすでに半分以上進んでいます。

第三章:整える(再構)のプロセス

実務では、整える=再構は次の3段階で進みます。

① 整理(不要を捨てる)

まず捨てる。

  • 過剰な説明
  • 関係の薄い要素
  • 過去の名残
  • 細部に散らばるノイズ

捨てるほど、本質の輪郭が立ちます。

② 整頓(揃えて収める)

次に、残した情報を揃える。

  • 近いもの同士をまとめる
  • 種類・役割で分ける
  • 大中小の階層に分解する

ここまで来ると、情報に“秩序”が生まれる。

③ 整える=意味の再構(構造をつくる)

最後に、意味を組み直す。

  • 核を中心に置く
  • 伝わる順番に並べる
  • 余白で呼吸をつくる
  • 情報全体の重心を決める

整理・整頓ではたどり着けない、意味の構造そのものを設計する工程です。

これができた瞬間、デザインは“作る前から”成立し始めます。

結論:整えるとは、意味を再構すること

整理=捨てる

整頓=揃える

整える=意味を再構する

この順で進めると、表現は自然に整い、迷いなく伝わる形になります。

整えるとは、外側ではなく内側を整える行為。意味の構造を揃えたとき、デザインはようやく動き始めます。

デザインは“整えること”から始まる。その整えるとは、意味を再構することでもある。

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