リブランディング ― 企業の“再定義”をデザインする

リブランディングとは、やり直しではなく“再定義”です。

見た目を変えることではなく、企業やブランドの「意味」をもう一度言い直すこと。

A HIRAGADESIGNでは、言葉・デザイン・発信のトーンを整えることで、信頼をつなぎ直すリブランディングを実践しています。

本記事では、小さな会社ができる「整えるためのリブランディング」を、実例を交えながら解説します。

リブランディングという言葉の誤解

リブランディングという言葉の誤解

「リブランディング」と聞くと、多くの人が“やり直し”を思い浮かべます。ロゴを変える、Webサイトを新しくする──まるで“過去を捨ててゼロから作り直す”ような印象で語られがちです。

けれど、実際のリブランディングはそうではありません。それは「作り直す」ことではなく、「もう一度、意味を言葉にすること」。

ブランドとは、一度つくって終わるものではなく、時間の中で人や社会とともに変化し続ける“関係性”です。

事業を続けるほど、発信している内容と実際の姿のあいだに少しずつ“ズレ”が生まれていきます。

そしてそのズレは、社外だけでなく社内でも起こります。外から見て伝わらないだけでなく、中でも「本当の強み」や「大事にしている価値観」が共通の言葉で語られていないことが多い。

この“言語のズレ”こそが、ブランドを静かに弱くしていく最大の要因です。

リブランディングとは、そのズレを整え、「私たちは何者で、何を大切にしているのか」をもう一度、言葉で定義し直すこと。

見た目を変えるのではなく、意味を再確認する作業こそがリブランディングの本質です。

第一章:リブランディングが必要になる3つのサイン

広報は「信頼を見える形にする仕事」です。
誠実な想いも、伝わる形に整えなければ理解されません。

  • トーンや色使い、写真の統一は“安心感”をつくる。
  • 書体や余白は“信頼感”を演出する。
  • ストーリーの構成は“共感”を生む。

広報デザインとは、「信頼が伝わる構造」をつくること。
社会との関係を、デザインの力で可視化する取り組みです。

3. 発信がうまくいかない3つの理由

ブランドは“壊れる”のではなく、“少しずつ歪む”ものです。気づかぬうちに、発信・印象・内部認識のあいだに微妙なズレが生まれます。それを放置すれば、「なんとなく伝わらない」「どこか違う」という違和感が積み重なります。

リブランディングが必要になるとき、よく見られるのは次の3つのサインです。

 

①顧客が変わったのに、言葉が昔のまま

事業の成長とともに顧客層や提供価値は変化します。それなのに、言葉や発信が当時のままだと、今の相手に響きません。“いまの自分たち”を、いまの言葉で表現できているかを見直す必要があります。

② 社内にも社外にも伝わっていない

理念や強みが感覚的に共有されているだけで、言葉として一致していないケースです。ブランドの共通認識は言語化されて初めて共有される。言葉が揃っていなければ、発信もバラつきます。曖昧さを省き、改めて言葉での相互理解が必要です。

 

③ デザインや情報が点在して、全体像が見えない

SNS、Web、営業資料──発信物が分散し、統一感がなくなると、会社の“らしさ”が見えづらくなります。見た目ではなく、意味を揃えることが重要です。

第二章:「再定義」という考え方

「再定義」とは、“変わること”ではなく、“軸を確認すること”。

企業やブランドは、時間とともに成熟し、役割も変化します。新しい事業、世代交代、社会の変化──その中で一度立ち止まり、「私たちは何を大切にしてきたのか」を言葉で見つめ直すことが大切です。

リブランディングは、「変える」ことではなく、“変わらずに大切にしているもの”を言い直すこと。それをデザイン・文章・発信のトーンに反映させていく。

つまりリブランディングとは、「再定義 × 一貫化 × 可視化」のプロセスです。

第三章:小さな会社のリブランディングは「整える」から始まる

小さな会社や個人事業の場合、“新しくする”よりも“整える”ことが重要です。

ロゴ、Web、名刺、パンフレットなど、これまで積み重ねてきたデザインには、必ず「考え」や「判断の軸」があります。

だからこそまずは過去を紐解くこと「なぜこの形にしたのか」「なぜこの言葉を選んだのか」。その理由を明確にすると、次に進む方向が自然に見えてきます。

リブランディングとは、“破壊”ではなく“編集”。「足す」よりも「整える」。新しい見せ方ではなく、正しい見せ方を探すこと。

それが、小さな会社にとってのリブランディングの出発点です。

第四章:整えるための3ステップ

  1. 棚卸し(今ある資産をすべて出す)
    デザイン・言葉・写真・資料──
    いま存在するものをすべて可視化する。
  2. 整理(重複・ズレ・古さを仕分ける)
    何を残し、何を更新するのかを判断する。
  3. 再構成(現在の目的に合わせて再設計)
    ターゲット・価値・方向性に合わせて、
    言葉・デザイン・構成を再定義する。

リブランディングは、“リセット”ではなく“リバランス(再調整)”。過去と未来をつなぐ編集作業です。

結論:変えることより、つなげること。

リブランディングの目的は「新しく見せること」ではなく、「信頼をつなぎ直すこと」。

いままで積み上げてきた信用や実績を壊さず、次の時代へ自然につなげていく。

それは“刷新”ではなく、“継続のための更新”。

変える勇気よりも、続ける知恵。それこそが、小さな会社にとってのリブランディングです。

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